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2018/10/12

「まなづるとダァリヤ」:宮沢賢治


宮沢賢治の「まなづるとダァリヤ」を読む。
ダァリヤとはもちろんダリア(和名:天竺牡丹)のこと。
まなづるは真鶴。その名の通りツル科の鳥です。

*

■「まなづるとダァリヤ」:宮沢賢治

6つのシーンで展開する物語。
この物語には一つの教訓があるような気がする。

<シーン1>
この物語の主役である一本の赤いダリアとその友だちの二本の黄色いダリアがいる風景が描かれている。三本のダリアは大昔の貴族の家の娘さんのように見える。

<シーン2>
黄色いダリアは両側から赤いダリアを褒めそやす。赤いダリアは黄色のダリアの黄色い声を聞いてもツンと澄ましている様子だ。自分はもっともっと美しくあらねばならないと思い込んでいるようだ。赤いダリアはまなづるに自分がどんな風に見えるか尋ねる。まなづるは当り障りのない受け応えをする。まなづるは三本のダリアの場所から少し離れた沼の淵にひっそりと咲いている白いダリアのことが気にかかっているようだ。白いダリアは貴族でも何でもない家のつつましい娘さんのように見える。

<シーン3>
黄色のダリアは相変わらず赤いダリアの美しさを褒めたたえ、赤いダリアはそんなことは当たり前だという顔をして澄ましている。まなづるは赤いダリアには当たり障りのない受け応えをして、白いダリアに心のこもった挨拶をして飛んでいく。

<シーン4>
黄色のダリアは相変わらず赤いダリアの美しさを褒めたたえ、赤いダリアはそんなことは当たり前だという顔をして澄ましている。赤いダリアは女王さまになりたいと思っているのだけれど、誰も赤いダリアのことを女王さまだと言わないのでイライラしている。そんな赤いダリアを見て黄色いダリアたちもちょっと愛想をつかしているようだ。まなづるは赤いダリアには当たり障りのない受け応えをして、白いダリアに心のこもった挨拶をして飛んでいく。

<シーン5>
赤いダリアのイライラはますます深くなっていく。イライラすることは美容に良くない。きっと夜もよく眠れないのだろう。黄色いダリアたちは赤いダリアの美貌に陰りが表れてきていることに気づき怯える。まなづるは赤いダリアには当たり障りのない受け応えをして、白いダリアに心のこもった挨拶をして飛んでいく。

<シーン6>
赤いダリアはもう誰も自分のことを美しいと言わないことを知り、オロオロしている。黄色いダリアたちはそんな赤いダリアを見てかわいそうに思っている。そこにガラのわるい人間の男がやってきて、赤黒く変色した赤いダリアを見て、
「あっこれだ。これがおれたちの親方の紋だ。」
といって、赤いダリアの首をポキリとへし折り、どこかへ持っていってしまう。見かけの美しさに囚われて、心を失ってしまった者の、実にあっけない最後だと思う。

ダリアには様々な花言葉があるらしい。
赤いダリアは「華麗」。
黄色いダリアは「優美」。
白いダリアは「感謝」。
「華麗」や「優美」といったものはいつか衰えてしまうものだけど、
「感謝」の心はいつまでも残る。
まなづるが白いダリアに心を寄せた理由がわかるような気がする。

(TOYOKUMA)

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