映画ノヲト/風に吹かれて
この映画は異邦人の物語である。
異邦人は英語ではエイリアン。異国の人のことである。異国の人は誰にとって異国の人なのかといえば、異国の人が滞在している国の人にとって異国の人なのだ。異国の人は時には「よそ者」と呼ばれることもある。誰かがどこかから別の場所にやってきた瞬間、その誰かは「よそ者」となる。異邦人にしてもエイリアンにしてもよそ者にしても、どうも排他的な要素を含む言葉である。どこか遠くからそこにやって来た人は、「よそ者」になろうと思ってその場所にやってきたわけではないだろう。
新しい土地で新しい人々と出会い、新しい人間関係を築き、よりよい生活を送るためにその場所にやってきたに違いない。けれどもそんな風に遠くからやってきた人が最初から歓迎されることはまれである。誰もが新参者には警戒心を持っている。自分の持っているものを新参者に取られるのではないかとついつい考えてしまうのだろう。それは形のあるものであるかもしれないし、形のないものかもしれない。そして人々は知らない間に自分と他人との間に塀を築く。自分で作った塀の中で人々は暮らす。異邦人だけがこことは別の場所があることを知っている。そしてたくさんの場所が存在し、その場所の数だけ新しいものと出会える可能性があることを知っている。
もちろん出会いもあれば別れもある。全ての出会いが良い出会いであるとは限らないし、全ての別れが辛い別れであるとも限らない。
この映画の中ではボブ・ディランの『風に吹かれて』という曲が一つの重要な役割を担っている。この映画の中の異邦人はディランの声を神の声だという。確かにディランの声は神の声かもしれない。けれどもディランは神ではない。神という存在がディランという媒体を通して歌っている。ディランの声が聞こえる場所には神が存在している。
(※気になるこの映画のタイトルは次回更新時に発表します。↓)

